絵の才能は遺伝で決まる?環境や学習など後天的な要因との関係
2018.5.30
絵の才能には遺伝の影響があると一般的には思われていますよね。
実際に才能のある人を多く輩出する家系があるのは確かですが、果たしてそれは遺伝だけの問題なのでしょうか。
絵の才能は生まれる前から遺伝で決まってしまうのか、生まれてからの経験や学習で決まるのかを考えてみましょう。
目次
絵の才能が遺伝が重要という考え方は多くの人が反発する
「生得論」という考え方があります。この中には「人は学習して学ぶことと別に、生まれたときから遺伝的に特定の才能を持っている」という意見も含まれます。
幼いのに上手くできる、学んだ・教えられた経験が無い初心者なのに評価されるという場面に、生まれ持った才能があるからだと思う人も多いでしょう。
しかし、現代人の多くは「絵や芸術の才能は遺伝が重要であると」と言われると反発を覚える傾向があります。
これは、才能があり、成功できるのは優れた血統の人間だけだという選民意識と共通するイメージを与えるからです。
近年、遺伝子の解析は驚くべきスピードで進んでいます。絵の才能があるかどうかについて判明する日が来るかもしれません。
それでも、才能の有無に関わらず絵を描くのが好きな人は、描き続けるのではないでしょうか。
絵の才能は遺伝よりも成長過程で触れる環境が大きい
一言で「絵の才能」と言っても、空間を把握する能力や色彩の感覚など、複数の能力が組み合わされた結果として一つの作品として「絵」という形になります。
そういう「感覚」や「知覚」に関しては、生まれついた能力は深く関係していると言えます。
しかし、優れた感覚を持っていても「絵を描く」という環境に出会わなければ、その才能を発揮することができません。
いくら潜在的に才能を持っていたとしても「絵を描きたい」と思わなければ、その才能に気が付かずに一生を終えることだってあり得ます。
物心ついたときから親や祖父母など、身近な親族が絵を描いていて、絵を目にしたり道具の使い方をみていた結果、人より絵が上手かったとしたら。
それは、はたして遺伝だけが理由でしょうか。
たとえ遺伝の段階で才能に差があったとしても、その後の環境や自分の努力で身につけていくものは、いくらでもあります。
決して才能だけが全てではないのです。
「絵の才能は遺伝する」という周囲の先入観が息苦しかった
家族はみんな絵を描くのが好きで、親戚の中にはプロの画家やデザイナーも。そんな一家に生まれても、絵を描くのが苦手だったり絵に興味を持てないことだってあります。
家族を知る人からは、子供の頃から「あなたも絵を描くの?」とか「上手なんでしょう?」という先入観で見られると辟易してしまいます。
確かに著名な画家には遺伝の影響を感じさせる人たちもいますが、だからといって絵の才能がある親から、必ず才能ある子供が生まれてくるわけではありません。
知識や技術がある親からは、描き方や作品に強くダメ出しされて、どんどん絵を描くことが「嫌なこと」に。
自分の子供には、才能とか関係なく興味のあることを幅広く体験させてあげたいと思うようになりました。
才能が遺伝するというイメージを万人に当てはめて考えるべきではないのでしょう。
音楽やゲームの才能は遺伝することが確認された?
「必死で努力すれば必ず目標を達成できる」
これを検証した研究結果があります。
アメリカの、ある心理学教授によると音楽やチェスなどのゲームでは、どれほど練習を積んでも「才能」がなければ上達するレベルには上限があるというのです。
研究の対象にしたのはチェスプレーヤーと音楽家。毎日の練習量と技術レベルについて調べました。
練習することで技術力が向上したのは、対象となった人々の3分の1ほど。あとの3分の2は、天性の才能と知識。さらに、ゲームや楽器を始めた年齢などが影響しているといいます。
この研究では、次のような結論が出されました。
・練習で上達するのは確かである。しかし、練習をせずとも、そのレベルに達する人がいる(才能がある人)
・どれだけ練習しても、上達しない人もいる(才能が無い人)
ガッカリするような意見ですが、この教授は「自分の能力を客観的に知ることで、実現の可能性をはかることができる。才能が無い・向いていないことに時間を使うなら、自分にあった分野に力を力を注ぐ方がいい」とも言っています。
絵や音楽の才能は遺伝に環境と努力がプラスされれば最強
「カエルの子はカエル」
「トンビがタカを生む」
真逆のことを言った諺です。
才能を持った親から、才能を持った子が生まれる。
才能が無い親から、優れた子供が生まれる。
昔から、そのどちらもあり得たということではないでしょうか。
多くの人は「才能は遺伝するんだな」と思う話を見聞きしているでしょう。ただ、それは本当に才能だけが理由でしょうか。
音楽の才能があるのに音楽に親しむ環境になかった。絵の才能があるのに描く機会に出会わなかった。それでは、才能が開花することができません。
逆に、遺伝の要素はすくなくとも、音楽や絵画に触れる機会があり興味を持つことで芸術に親しみ、世間から評価される存在になるもあります。
親の才能はどうあれ、芸術やスポーツなど、子供には多くの体験をさせることが子供自身の才能を引き出すきっかけになることは確かです。
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